悪の経典
ずっと読もうと思ってた↓を読みました。
悪の教典 (2011/11) 貴志 祐介 商品詳細を見る |
分厚くて読むのに時間掛りそうだなと思っていたけど、睡眠時間を削って後半は一気に読んでしまった。
こんなに夢中で読んだ本はバトロワ以来だから、まぁ自分には合ってたんだろう。
以下、感想。読書メーターにアップしたら文字数オーバーしてしまった。
※以降ネタバレ注意
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第一章ではあくまでさわやかながら、
カラスを登場させることで不穏な雰囲気をにおわせるといった手法はお見事。
徐々に徐々に蓮実の行動がエスカレートし、最後はまさかの、
津山三十人事件を優に超える戦後最大規模の大量殺人。
前評判を一切見ていなかったのでまさかの展開。
そこに至るまでの数々の犯行の動機が安直なだけに、
大量殺人という結論に至っても蓮実の異常性で不自然さをある程度カバーできている。
個人的に読み応えがあるのは、エリート教師の仮面に隠された蓮実の実態が
徐々に明らかになる前半部分だと思う。
後半はバトロワ式の進行ではあるものの、作者の徹底したご都合主義の排除が窺える。
蓼沼とか、後半で活躍するのかと思いきや前半にドロップアウトとか、
うそぉと思いつつその分現実味があった。
バトロワでいったら、三村か杉村ポジションだと思ったのになぁ。。。
こんなに現実甘くないんだぞと。
現実の非情さみたいなものをさんざん見せつけ、
その上で勧善懲罰とはいたらなそうな読後感の悪さはホラーだ。
心を打つ作品ではないが、サイコパスというのは実際こういうもんなのかもしれないと
思わせられた部分は本当にホラーで圧巻。
ちなみにこれだけの大量殺人で犯人が自殺していない例は日本ではない気がするので、
裁判でどんな判決になるかは知りたいところ。
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貴志作品にはずれなしとはいいますが、この作品は売れてるけど賛否両論あるみたいですね。
そのうち↓も読みたいです。
新世界より 上 (2008/01/24) 貴志 祐介 商品詳細を見る |