加藤重弘「日本人も悩む日本語」 感想
ちょっと前に、神楽坂にオープンした
かもめブックスさんに行ったときに買った本です。
文章を書いているとどうしても意識下になかった誤用に
ぶつかることがあるんですが、そういうのを考えさせられる本です。
誤用=ダメ、って考えになりがちなんですが、
そもそも何をもって誤用とするのか、を考えさせられる本です。
現在は正しい用法とされている表現でも、かつては誤用となっていた
時代がある言葉というのは非常に多いものです。
広まってしまった誤用は時代と共に正しいものになっていきます。
とまぁ、そんなことを考えるいいきっかけになった1冊です。
もちろん、世間で言われている誤用の例も満載です。
ここはあえて、その誤用の例ではなく、誤用とはを考えさせられた
内容をちょっと引用します。
勢力を拡大しつつある多数派が「誤用して」おり、どんどん縮小している圧倒的少数派が「正しい」ということになるのなら、「誤用」とはいったい何かと首をかしげたくなってくる。
ことばの保守化は三十代から始まる。
つまるところ、表記や用字の問題は、文章を書くときに生じる問題を最小限に留めるような、実用的なシステムになっていればよい、というのが基本的な考え方である。
長いスパンで変化していることばの場合、すっきり解決できないケースも多い。変蛮をふるって白黒をつけてしまうと、勇断とは言えず、単に野蛮なだけと思われかねない。
この本の最後の章タイトルにもなってますが、
最後は自分の頭で考えて正誤を判断するしかないのだな、と思いました。