原点回帰―Running possible―

晴海まどかの日々精進ブログ

「武士道シックスティーン」シリーズ感想

昨日の深夜にシリーズ最終巻まで読み終わりました!
2010年に映画化もした、剣道女子を描いたシリーズです。

武士道シックスティーン: 1

武士道シックスティーン: 1

 

 

武士道セブンティーン

武士道セブンティーン

 

 

武士道エイティーン

武士道エイティーン

 

 

武士道ジェネレーション (文春e-book)
 

 ※以降ネタバレ含みますので注意。

 

今度参加する読書会の課題図書になっていて、せっかくなのでシリーズ読破
したのですが、これは課題図書じゃなかったら出会えなかった良書でした。
自分、文化部出身なので、運動部の話ってどうしても食指が伸びづらく。

物語は磯山香織と甲本早苗の二人の女子高生のW主人公で進んでいきます。
1章ずつに語り手が交代する感じです。
「シックスティーン」でタイトルのとおり16歳・高校1年生を描き、
17歳、18歳、そして高校卒業後~大人になってまでを描いたシリーズです。

映画にもなった「シックスティーン」では、価値観の違う二人の女の子が
互いに影響し合って成長していく、といった王道の青春ものなのですが、
巻を重ねていくにつれて、タイトルのとおり「武士道」に踏み込んでいきます。
剣道とはどういう生い立ちのものなのか、武士道精神とは何か、
みたいなものを、キャラクターたちと一緒に学んでいきます。
もちろん試合のシーンもたくさんあって迫力満点。
剣道を知らない私は、剣道がこんなにぶつかり合うものだとは知りませんでした。

ちなみに私は本当に剣道のことちんぷんかんぷんすぎて用語も最初わからなくて、
絵が浮かばなかったこともあり「シックスティーン」読了後にコミック読みました。

武士道シックスティーン(1)
 

コミカライズの方は単純な友情ものとしてまとめられていて原作のもろもろと
比べると少し物足りないのですが、剣道の雰囲気を掴むにはよかったです。

主人公二人は前述のとおりキャラが正反対で、勝負主義で男勝りで時代錯誤な香織と、
楽しく剣道がしたい女の子らしい常識人の早苗で、最初はとにかく衝突します。
なんですが、やがてその関係も友だちとも仲間とも少し違う同志のようなものに。
最終巻「ジェネレーション」で早苗が妊娠を報告したシーンで、
これまで一切泣かなかった香織がボロボロ泣きながらお祝いを言うんですね。
このシーンに、二人が積み重ねてきた時間と関係すべてが凝縮されてるなぁと。

ちなみに私個人としては、色々と考え方すっ飛んでてめちゃくちゃで、
1巻ではなんだこいつはと思ったりもしたんですが、
最終的には香織の方が考え方がシンプルで感情移入しやすかったです。
香織の人間的な成長は本当に目を見張るものがあり、
「セブンティーン」では微笑ましいくらいになります。
やがて小中学生に先生として慕われるようになり、
その武士道精神が引き継がれていくさまはこちらまで嬉しくなります。
そのくせ、最後にはアメリカ人と無規則試合して見初められて国際結婚とか
展開が面白すぎてやられたぜちくしょうと唸ってしまった。

あくまで主人公は二人なのですが、周囲のキャラもとても強烈で、
シリーズ最後まで読むと、これはたくさんの人の人生が交錯してつながっていく
お話なんだなぁと思いました。
香織のお師匠様である玄明先生や、早苗の恩師である吉野先生、両親、姉、
先輩やライバルたち、みんなにそれぞれ過去があってこれからもあって、
その延長線上に今の主人公たちがあるんだとストンと理解できる、
過去と未来につながった一つの時代を切り取って描いた作品なのでした。
たくさんの好感の持てるキャラクターたちの人生を追いかけることができて、
4冊ではありますが読み切ったあとの達成感が半端なかったです。
代表作「シックスティーン」もいいんですが、できればシリーズを順に読んだ方が
面白さは数倍増すと思います。
「セブンティーン」「ジェネレーション」が個人的にはとっても面白かったと
同時に、考えさせられたり教えられるテーマを多分に含む内容でした。

 

ちなみに私はこの作者さん知らなかったのですが、
映画・ドラマ化されてる「ストロベリーナイト」の方なのですね。
(まぁこっちも予告編見たことあるくらいで本編観てないのですが)

ストロベリーナイト 警部補 姫川玲子 (光文社文庫)

ストロベリーナイト 警部補 姫川玲子 (光文社文庫)

 

こっちが警察小説だそうなので、雰囲気違うものも書ける方なのですね。
興味あります。