大西寿男「校正のこころ」感想
今日読み終わった本です。
ツイッターでレビュー見て面白そうだったので電書版で読みました。
「校正のこころ」というタイトルから、校正者の心構え、
的な内容を予想していてそういう内容も盛りだくさんだったんですが、
最終的には言葉とは何か、みたいな思想的な内容でした。
インターネットの発達により、安易に言葉が放たれる現代社会において、
校正のこころをもって言葉というものを考え直してみようという感じでしょうか。
読み終わった感想としては、校正者が読んでももちろんいいんですが、
言葉を発する側の人間こそ読んだ方がいいんじゃないかなって思いました。
一人編集・校正までやらないといけない個人出版なんて
まさにそうじゃないでしょうか。
あと印象的だった文章をいくつか。
「校正するこころ」を欠いて世に出された言葉は、不幸です。
この本を読んでいると、言葉が段々と意思を持つ生きものに思えてきます。
言葉の本質を尊重する姿勢が、「校正のこころ」というヤツなのかなぁなどと。
あまりにも言葉が生み出されたままの姿をさらしているように映ります。満足に育てあげられることも、肉体を与えられることもなく、生まれたままの裸の姿で力なく、世間の厳しい風にさらされているかのようです。
出版業界の不況の話とかもチラと出てくるんですが、
世の中自体はむしろ安易な言葉に溢れてるんですよね。
自分もツイッターとかやってるので、そうだなぁと自戒もしつつ、
言葉を発信するということの重みを考えたり。
あとあれですね、ネット上だと、平気で人を攻撃する言葉を放つ人。
そういう人こそこういう本読んで考え直せと思いますが、まぁ読まないんだろうな。
校正の現場の話とか、DTPの歴史とか字体の話とか、
そういう話も色々興味深く読めました。読みやすい文章の本です。
個人的には、言葉を発信する側の方にすすめたい1冊でした。