新刊『ギソウクラブ』:1話ずつ語り手が変わる話を紹介してみる
1日空きましたが、『ギソウクラブ』にまつわる話を引き続き更新します。
今日は1話ずつ語り手が変わるお話について。
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私は以前から、同一時間軸を複数の視点で書くというのが結構好きで、
これまでも何作か書いてたりします。
個人出版してるのだと、以下に収録してる
『三月ウサギは知っている』『彼女たちの事情(In a Grove)』ですね。
まぁなんか、三年近く前に書いたものは怖ろしくてしようがないですが。
個人出版してない長編で似た構成のものも手元にあります。
『ギソウクラブ』も最初のとっかかりはそうで、
一つのシーンを別の人物の視点から見ると見え方違うよねっていうのを
書きたいなと思ったりもしてました。なのでいくつかのシーンはそうなってます。
最初に人物A目線であるシーンを書いてから、人物B目線で書き直してみると、
こいつはこんなこと思ってたのかとか自分で気づきになることもあって面白いです。
そうすると、必然的に章ごとに語り手を変えたくなるわけですね。
さてさて、各話語り手が変わるお話って世の中にはたくさんあるのですが、
そんな中でも印象が残ってるものを紹介してみようかと思います。
私などが解説する必要もない映画化もされた作品ですが、
これも1章ずつ語り手が変わる作品です。
面白いのは、語り手の年齢・性別・価値観・知識レベルがバラバラなのですが、
地の文にその差が如実に出ていること。
当然のことなのですが、これ本当に難しいと思うんですよね。
読みつつ「すごいなーすごいなー」と語彙の少ない人みたいにずっと思ってました。
敬愛する山田詠美さんの2013年の本です。
一人の家族を失った一家の一人ずつが1章ずつの語り手になっていきます。全4章。
タイトルのとおりで死とは、人生とは、残された者はどうすべきかを考えるお話。
が、が、が、です。ネタバレになってしまうので多くは語りませんが、
最後の語り手が!ああああああああ!
となること間違いなしの最後の1ページにしてやられる作品です。
これはすごいですよ。上下巻で総勢24人が語り手になる作品です。
タイトルのとおりクラスメイト全員が主役になり語り手になるのです。
クラス24人、個性の強い子も普通の子ももちろんいるわけですが、
ここまで書き分けするのにどれくらいキャラを作り込んでいるのか知りたいです。
この作品は本当にプロットを見てみたいと切実に思いました。
そういうわけで、まったく自著の宣伝にはなっていないのですが、
毎話語り手が変わるお話を読みたいという方は上記のような作品を
ぜひぜひ読んでいただいて、よかったら『ギソウクラブ』もどうぞ。