内沼晋太郎「本の逆襲」感想
数日前に購入して、今日一気読みした本。
色々面白かったし考えさせられる内容でした。
簡単に概要を説明すると、
出版業界の未来を悲観する声が多いけど、
『本』そのものの未来は色んな可能性が増えてむしろ明るいよ、
という本です。
出版業界の慣習から電子書籍の話、Twitterやcakes、
リアル書店の話まで色々網羅されてて気軽に読めてよかったです。
前半の方で『本』とは何かを再定義されているのですが、
この本で定義している『本』っていうのが、
↓の記事で定義されている『publishing』に近い気がします。
本って言うと、出版社が出してて本屋さんに並んでいる紙の冊子、
ってイメージが強いとは思うんですが、確かに今は電子書籍もあるし、
こういう風に考えるだけでも『本』の可能性は広がる感じがしますね。
『本』の定義が広がるからこそ、紙の本についてはプロダクトとしての
価値がこれからはついて回る、というようなことをこの本では書かれていて、
それは確かにと思いました。紙だからこそ手元に置いておきたいみたいな。
物を書いてる側の人間としてはやっぱり紙の本に対する憧れってあるんですが、
ただやみくもに紙がいい、じゃなくて、
なぜ紙なのか、ももう少し考えてもいいんじゃないかなーと思いました。
あと、著者がプロデュースしている「これからの街の本屋さん」の
経営コンセプトとか収益を上げている方法なんかも紹介されていて、
これが結構面白かったです。
本屋さんなんだけど、ビールも飲めてイベントもやってて家具も販売してる。
本屋さんだけど、本を楽しむための空間作りとかメディア作りもやってるんですね。
似たような例としてヴィレッジヴァンガードの話もありました。なるほど。
ただ本を並べて置いておくだけじゃなくて、
本を手に取りたくなるような空間ごと提供してるってことなのかな。
というのを読んで思ったのが、電子書籍もそうだよなーと。
きんどうさんの風立ちぬ杯じゃないですが、
そういう本を漁りたくなる(DLしたくなる)ような雰囲気作りみたいのも必要だなと。
KDP本が売れない売れないって話はあちこちにありますが、
そりゃAmazonに並べてるだけじゃ当たり前ですよね。
何よりノーブランドなわけですし、品質保障もないわけで。
どうすればいいのか自分もわからないですけど、
そういう『場』を作る努力もしないといけないんだろーなぁ。
とか色々考えさせられてよかったです。
基本的には書く側の人間でいたいところですが、
個人出版をやる限りはやっぱりこういう売る側というか、
手に取ってもらうためにはどうしたらいいのかも
考えなきゃいけないんだろーなーと思いました。