太田忠司「まいなす」 感想
本を読んだ感想をブログに書くのは本当に久々ですが、
これはぜひ書いておかねばということで。
まいなす (ミステリーYA!) (2008/11) 太田 忠司 商品詳細を見る |
・まさにYA!という中学生の女の子、那須舞が主人公。
・那須 舞→英語にするとマイ・ナスであだ名が〝まいなす〟→コンプレックス
・こういう中学生的なコンプレックスは読んでて楽しい。
・まいなすってあだ名に負けないように強く生きようとする舞だが、
なんだかんだで押しに弱く、さして仲良くもないクラスメイト茅香に頼まれて
山にある祠を見に行くことに。
↓以降ネタバレあり↓
・この辺までは女の子の友情ものかなーと思いきや、
予言とか橋の崩落とかはてまは殺人予告まででてきて、物語は一気に不穏な雰囲気に。
・一方で、舞と伯父さんとのドルフィントークがほほえましくてほっこり。
・イルカのぬいぐるみヌーを抱きしめて、強がっている分の弱音を吐く舞が
中学生らしくてかわいい。
・お母さんに勝手にヌーをクリーニングに出されて怒るのもわかるよ。
・ぬいぐるみは友だちです。
・何気に最強キャラなのが頓着しないお母さん。
・あぁいうキャラって何気に書くの難しい気がする。
・本とかぬいぐるみ捨てられたら怒るよねー、そりゃ。
・なんて舞の日常も描きつつ、自然な形で事件に巻き込まれていってしまう舞。
・それを言い当てる伯父さん。生きてて欲しかったなぁ。
・最初に祠に行ったときは本当にわがままでこういう奴とは友だちになりたくないと
思わんばかりだった茅香。だが徐々に打ち解け、その良さもわかってくる。
・なんだかんだで茅香の心配をしてしまう舞。
・伯父さんからのヒントもあって、事件の真相に近づいていく。
・というか、“殺人予告”とか出てくるけど、実際問題不穏な事件は何も起きていないんだよね、ほんとは。
・その辺の見せ方がうまかった。不穏な事件を起こすより、不穏に感じさせる出来事を
描く方が実は何倍も難しいと思う。
・あと、タイトルのつけ方。色々事件があったし、別のタイトルでもいいのでは、
と中間ぐらいには思ったけど。最後には「これはまいなすを描いた作品だったんだ!」と思えた。
・最後には少し大人になった舞に出会えてほっこり(´ー`*)
ということで。
毎月必ずYA作品を数冊読むことにしているんですが、
この作品は今年読んだYAの中でも目下ダントツの一位でした。
いやー、面白かった。本当に面白かったよ。
主人公の成長に、家族、友情、ちょっとだけ不穏な事件という、
YAならではの要素満載の良作でした。機会があればぜひ!
この作家さんの別の作品も読んでみたくなりました。