貴志祐介「エンタテインメントの作り方」感想
昨晩読み終わったこちらの紹介。
『青い炎』『悪の教典』などなどヒット作の多数ある、
貴志祐介さんの小説ハウツー本です。
小説のノウハウ本的なものはかなりの数読んでるんですが、
この本は小説の着想~執筆~推敲に至るまで、
順々に章立てして書かれているのが面白いなぁと思いました。
前半のプロットとかアイディアに関する話は、貴志作品を読んだことがあると、
とっても面白いかと思います。実際のプロットの一部とかも紹介されてて、ほほうと。
一つのアイディアをどうやって膨らませたのかとかは非常に参考になります。
ちなみに、私が読んだことある貴志作品はこの辺ですね。
で、小説のノウハウ本って話の作り方とか精神論に偏ってるものが多いのですが、
この本は「文章作法」「推敲」という章があるのが面白いなと思いました。
書かれてることはそれほど真新しくなくて、漢字を使いすぎないとか、
原稿は寝かせてから推敲とか、ごくごく当たり前のことではあるんですが、
そういう当たり前を積み重ねてヒット作を次々書いてるならすごいことだなと。
一点だけほほうと思ったのは、1章書いたら次に行く前に推敲しろと
書かれている点ですかね。
私はとりあえず振り返らずに最後まで書ききるタイプです。
小説の本を読んでると、「こんなことできるかよ!」とか思うこともあるんですが、
この本だとそんなに突飛なことは書かれてなくて、
むしろ意識すれば誰にでもできそうなことを一つずつ丁寧に説明してくれています。
とても緻密に計算して作品を作る作家さんなんだなというのがわかります。
誰にでもできることを一つずつ積み重ねていって、細かな部分まで気配りして、
丁寧に組み上げていけばいい作品が書けるのかもしれないなと思いました。